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HSPと関連する心理学の分野
HSPと関連の深い心理学の領域とは何でしょうか?
さまざまな見解はあると思いますが、とくにパーソナリティ心理学と発達心理学という領域が密接な関連があります。さらにいえば臨床心理学の知識も身に着けると役に立ちそうです。
ですので、次のステップでは、これらの心理学領域の入門書を読むことをおすすめします。とりわけパーソナリティ心理学と発達心理学は、とてもHSPの考え方と相性がよいです。
それぞれの心理領域がHSPの理解にどのように役に立つのでしょうか?
パーソナリティ心理学
まず、パーソナリティ心理学です。これは人の気質や性格(さらにいえば、その個人差)を理解するのに役に立ちます。
このサイトでも解説するように、HSPの背後にある感受性は気質・性格的な特性ですから、人の気質や性格が一体何なのかを知らなければ、HSPを適切に理解することはできません。
発達心理学
次に、発達心理学です。これは人の心の発達を理解することに役に立ちます。
ご存知のように、感受性の個人差は子どもの頃から観察できます。このサイトでも解説するように、感受性は生まれながらに決まったものではなく、出生前の要因、遺伝子と人生初期の環境との交互作用などを通じて発達的に形成されます。
人間の心が発達するとはどのようなことなのかを知らなければ、HSPを適切に理解することはできません。
臨床心理学
最後に、臨床心理学についても補足しておきましょう。これは人の心の病やその治療を理解するために役に立ちます。
例えば、HSPが自身の特性と合わない環境で生活を続けたとき、抑うつ症状や不安などの反応が強まるかもしれません。場合によっては、治療が必要なほどの症状を示す人もいるでしょう。
臨床心理学を学べば「なぜ精神はうまく働かなくなることがあるのか」「どのような種類の精神疾患があり、どのように診断されるのか」「どのような治療が可能なのか」などを知ることができます。
臨床心理学は、HSPそのものの理解というよりも、HSPであるがゆえに起こりうるネガティブな結果(「生きづらさ」)を理解する手掛かりになります。
参考になる教科書
HSPを理解するために、パーソナリティ心理学、発達心理学、臨床心理学がどのように役に立つのか理解いただけたかと思います。次に、これらの領域の教科書を紹介します。
■パーソナリティ心理学
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「パーソナリティ心理学 人間科学,自然科学,社会科学のクロスロード」,榎本博明・安藤寿康・堀毛一也(著),2009年,有斐閣
■発達心理学
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「問いからはじめる発達心理学 生涯にわたる育ちの科学」,坂上裕子・山口智子・林創・中間 玲子(著),2014年,有斐閣
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「ベーシック発達心理学」,開一夫・齋藤慈子(編),2018年,東京大学出版会
■臨床心理学
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「臨床心理学入門 多様なアプローチを越境する」,岩壁茂・福島哲夫・伊藤絵美(著),2013年,有斐閣
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「使う使える臨床心理学」,岡島義・金井嘉宏(編著),2020年,弘文堂
繰り返しますが、読みやすい教科書は他にもありますので、書店で手に取って自身に合うものを探してみるのもよいです。
とはいえ、はじめて心理学を学ぶ人にとって、(HSPに関連する領域の)最適な教科書を探すのは難しいと思いますので、教科書選びに自信がない人は上記の本を参考にしてみてください。