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HSPの論文を探す、読む

本の山

次のトピックは、「HSPの論文を読もう」です。みなさんは、心理学の論文を読んだことはありますか?


論文を読むことは、HSPを学術的に学ぶための最終到達点になるかもしれません。また、心の専門家にとっては、論文を読むことは必須のスキルでもあります。
 

心理学を初めて学ぶ人にとって、論文を読むことは非常に高いハードルになることでしょう。とはいえ、論文を探したり、読んだりすることは、HSPの研究知見を学びたい人にとって無視できないポイントですので、本サイトでは簡単に触れておきたいと思います。

データベースを使ってHSPの論文を探す

HSPの論文を読む前に大事なことがあります。それは「HSPの論文を探すこと」です。実は、論文を読むだけでなく、論文を探すにもそれなりのスキルが必要です。

 

日本語の論文を探すのであれば、以下のデータベースを使って検索するとよいでしょう。

これらのデータベースは、心理学部の大学生にとっては定番です。ゼミで論文購読の課題などが出た際は、上記のデータベースで論文を探すことになります。

 

例えば、J-STAGEの検索窓で「感覚処理感受性」というキーワードで調べてみると、以下の画像のような検索結果がヒットします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

論文をダウンロードするときに注意したい点

少し気をつけたいのは、「論文以外」の結果も表示されるという点です。これはCiNiiやGoogle Scholarでも同じです。上記の画像の検索結果を例にみてみましょう。

著者名の下に、「日本健康心理学会大会発表論文集」「パーソナリティ研究」といったワードがみえるかと思います。これは、どの雑誌から公刊されているかを示すものです。

 

注意したいのは、「論文集」と書かれたものは、「論文ではない」点です。これは研究者が学会で研究発表する際の「抄録」と呼ばれるもので、A4サイズ程度の文量で研究の概要をまとめたものになります。

 

論文は「心理学研究」や「パーソナリティ研究」などの学術誌から公刊されます。論文のファイルをダウンロードする前に、どの学術誌から論文が公刊されているのかを確認しておきましょう。日本語の学術誌の中で、HSPの論文が公刊されやすい学術誌名を以下に挙げます。もちろん、ここで挙げた以外の学術誌でも公刊される場合はあります。

 

  • 心理学研究

  • パーソナリティ研究

  • 感情心理学研究

  • 発達心理学研究

  • 教育心理学研究

  • 社会心理学研究

審査を受けた論文とそうでない論文

上記で挙げた学術誌では、査読を経て発表された論文が収録されています。査読とは、論文の審査のことです。論文を投稿すると、2~3名の研究者から審査を受けて、修正すべき点などについてコメントをもらいます。それらのコメントに適切に対応することで、論文の掲載が認められます。論文に大きな問題があると、掲載が認められない場合もあります(掲載を拒否されることのほうが多いです)。審査を経ているので、掲載された論文は、ある程度は信頼できると考えてよいと思います。

一方で、CiNiiなどのデータベースで論文を検索すると、査読を経ないで掲載された論文も表示されます。その多くは、大学や研究所などが発行する雑誌です。「紀要」と呼ばれます。雑誌名はさまざまですが、検索結果には「○○大学紀要」「○○研究所紀要」と表示されることが多いです。「紀要」は基本的に査読を経ない(経ていたとしても非常に簡素)ので、そこに掲載される論文は、良くも悪くも玉石混交です。悪い意味で、非常に怪しい論文であっても掲載されるので、査読を経た論文よりも紀要の論文を読むときの方が注意が必要です。

検索ワードの選び方

初めてHSPの論文を探す人にとっては、検索ワードの選び方が一つのハードルになると思います。
検索する際のポイントは、心理学の「専門用語」をキーワードにすることです。例えば、「繊細さん」「ひといちばい敏感な人」と検索してもヒットしません。

 

日本語の論文の場合、基本的には「感覚処理感受性」という専門用語で検索してください。「Highly Sensitive Person」と検索してもよいのですが、あまりヒットしません。「環境感受性」という言葉も、日本のHSP研究界でまだ浸透していないので、ほぼヒットしません。「HSP」と検索すると「ヒート・ショック・プロテイン」の論文ばかりヒットしてしまいます。

Google Scholarで英語のHSP論文を探す

上記では、J-STAGEの例を挙げました。J-STAGEとCiNiiは、基本的に日本語の論文しかヒットしません。英語のHSP論文を調べたいときは、Google Scholarで検索しましょう。
 

すべての論文が無料でダウンロードできるわけではありませんが、論文タイトルの左側に「PDF」と表示があるものは、基本的に無料でダウンロードできます(下図)。
 

英語の場合も検索ワードの選び方が大切になってきますが、基本的には以下のワードで検索するとよいと思います。

 

  • Sensory Processing Sensitivity

  • Highly Sensitive Person

  • Differential Susceptibility

  • Environmental Sensitivity, Psychology

  • Vantage Sensitivity

 

 

 

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